2012年8月30日

MMR達成時期と進行リスクの情報

MMR達成時期と進行リスクの情報が、グリベックのWEBから消えてしまったので代わりの解説をいろいろ探していて、やっと日本語での記事を一つ見つけました。欲しかった情報はこれ:

治療開始18カ月時点で3 log以上の寛解深度に至った139例では、今日までに移行期/急性転化期へ進行したケースが1例も無く、全例が慢性期に留まっていた。

もう少し包括的かつ詳細がわかる公式な解説があるとよいのでしょうが、
1先にMMRになった方が進行リスクが低い
→スプリセル(ダサチニブ)の方がより強い(dirtier)ので早くMMRになる確率が高い
→だからグリベック・タシグナじゃなくてスプリセル飲もう!
みたいな3段論法になってグリベックのサイトから消えたのではないかと穿って考えてしまいましたが、スプリセルのページにも特にIRIS試験結果について記載はなさそうだったので、単に両社ともリスクを嫌って情報開示をしていないだけのような気もしますが。
http://www.sprycel.jp/top.html


以下、日経メディカルより転記(記事がなくなった時のために)
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/gakkai/asco2006/200606/500592.html


学会ダイジェスト:第42回米国臨床腫瘍学会・年次集会
2006年6月2日~6日 Atlanta U.S.A.2006. 6. 5
ASCO2006で世界中が待ち望んだIRIS試験の5年成績がついに発表
移行期や急性転化期に進展してもおかしくない時期なのに、患者の多くは慢性期に留まって生存を続けている
水田 吉彦=医学ライター


B.J. Drucker氏
 本学会で恒例のIRIS試験の最新結果が、6月3日のオーラルセッションで報告された。慢性期の慢性骨髄性白血病CML)初発患者に対するイマチニブ治療の驚くべき長期成績がいったい何年続くのか。満員となった会場の熱気に包まれて、米国オレゴンHealth&Science大学のBeverly J.Druker氏が発表を行った。
 今から5年前にIRIS試験はスタートした。当時の既存療法であったインターフェロンα+Ara-C併用と、同じく当時の新規療法であったイマチニブ400mgを比較する目的で開始された、無作為比較の第3相臨床試験である。試験開始早々、インターフェロンα+Ara-C群をはるかに凌ぐ著しい有効性がイマチニブ群にて示され、その後はイマチニブ群での長期予後成績に世界中の関心が移っていった。
 5年が経過した現在、イマチニブ群には382例が残っており、治療継続率は69%であった。5年間の全生存率は89%であり、CML関連死は5%未満と報告された。「これは過去すべての治療法と比べて、最も優れた成績と言えるだろう」(Druker氏)。
 今回、Druker氏が強調したキーポイントのひとつが、“Late responses”であった。細胞遺伝学的完全寛解(CCR)の累積達成率が未だ頭打ちにならず、伸び続けているのである。その経過は、治療開始12カ月目で69%、24カ月目で80%、36カ月目で84%、そして60カ月目では87%に達していた。5年が経過してなおCCR達成率が向上している薬剤はイマチニブが初であろう。
 一方、増悪リスクは治療継続に伴って漸減し、試験開始時には2%前後あった移行期/急性転化期への進行率が、現在では0.6%にまで低下した。そうしたことから、多くの患者が慢性期を維持しつつ、生存を続けている。
 特記すべきことに、治療開始18カ月時点で3 log以上の寛解深度に至った139例では、今日までに移行期/急性転化期へ進行したケースが1例も無く、全例が慢性期に留まっていた。
 以上の成績を踏まえて、Druker氏は力強く語った。「イマチニブ登場前の過去の概念からすれば、5年という歳月を経て、患者の多くが移行期/急性転化期へ進行してもおかしくはなかった。それを思い返すことで、改めてイマチニブの価値を実感できるだろう。IRIS試験の5年成績をみる限り、慢性期CML初発患者の第1選択薬は、間違いなくイマチニブであろう」。

2012年8月20日

記事紹介:インド最高裁、大手製薬会社の特許で最終審理 ジェネリック業界に影響も(ロイター)

いよいよ、グリベックの知財訴訟@インドの最終審理のようですね。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK818197220120820

インド最高裁、大手製薬会社の特許で最終審理 ジェネリック業界に影響も

2012年 08月 20日 13:47 JST
 [ムンバイ/ロンドン 20日 ロイター] スイスの製薬大手ノバルティス(NOVN.VX)が抗がん剤「グリベック」の特許認定をインド特許局に求めている訴訟で、インド最高裁が今週、最終審理を開始する。
 ノバルティス側の訴えが認められれば、インド製薬業界のルールが書き換えられ、インド企業による安価な後発医薬品(ジェネリック薬)製造が抑制される可能性がある。
 ノバルティスはインド特許局にグリベックの特許を申請したが、同局は既存薬の化学構造を変えただけで新薬ではないとして、特許の認定を拒否している。
 今回の訴訟で特許が認定されれば、ノバルティスは同薬の独占販売権を手にし、インド企業による後発薬の生産が中止されることになる。
 インドの製薬会社は国内のほか、世界の途上国に安価な後発医薬品を提供している。
 インド特許局は今年3月、独バイエル(BAYGn.DE)の抗がん剤「ネクサバール」が高額すぎて大多数の国民の手に届かないとして後発医薬品の販売を認めており、今回の訴訟で再び海外メーカーとインド政府間の緊張が高まっている。
 ノバルティスの関係者が出席する口頭弁論は22日に始まる。審理は数週間続くとみられ、判決は1─2カ月後になる見通し。
 大手製薬会社の間では、急成長するインド市場の潜在力は非常に大きいが、知的財産権の保護が不十分との警戒感が強まっている。

2012年8月3日

【ノバルティスファーマ】「タシグナ」の早期浸透急ぐ‐淺川本部長「CMLに照準、血液癌領域を強化」(薬事日報)

ノバルティスさん、タシグナ売りたいんですね。

以下、薬事日報より貼り付け。
http://www.yakuji.co.jp/entry27576.html

2012年8月3日 (金)
  
 ノバルティスファーマは、オンコロジー事業本部の最重要課題として、慢性骨髄性白血病(CML)治療薬「タシグナ」の早期浸透に取り組む。同社が販売する抗癌剤「グリベック」に抵抗性を示すCML患者にタシグナの処方提案を進め、市場シェアを確保していく戦略を打ち出す。取締役オンコロジー事業本部長の淺川一雄氏は、本紙の取材に、「グリベックは消化管間質腫瘍(GIST)と急性リンパ性白血病(ALL)、タシグナはCMLをターゲットに事業展開を進め、血液癌領域の事業基盤を強化したい」と話している。

個別化医療対応も重要課題

 同社は、7月にオンコロジー事業部の組織再編を行い、血液癌と固形癌の二つの事業部を傘下とする事業本部制を導入した。新体制では、血液癌と固形癌の二つの組織に分け、これまで分離独立していた営業・学術・マーケティングの機能を集約。両事業部内でMRと学術・マーケティング部門の連携を強化することで、専門性の高い営業体制の構築を目指す。

2012年8月1日

CML患者が海外留学をするための治療費の問題


まず海外療養費という制度があり、海外で支払った治療費(薬剤含む)と同じ医療行為の日本での治療費(薬剤含む)を比較して安い方をベースにして、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額が支給されるようです。

(引用)
日本国内の医療機関等で、同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額を支給します。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,54413,94,151.html
(引用終わり)

例えば、国内での医療費は3カ月ごとにおおよそ100万円(健康保険及び高額療養費制度適用前、3か月分のグリベック含み)ですが、これが海外で仮に200万円の場合は差額の100万円は自己負担!になり、残りの100万円は高額療養費の制度によって自己負担は8万円とかになるんですね。逆に海外で仮に50万円だった場合にはその額が給付のベースになるようですが、3割負担でも15万円の支払いなので、さらに高額療養費適用になるようです。

なので、グリベックの値段が海外の方が相当に高かったら、ロンドン・東京往復15万円くらいの航空券チケット払ってもそちらの方が割安になり、今の先生で継続できるメリットもあるので、半年に一回日本に帰ってくる方式がよさそうですね。これ、高度医療社会において若者の教育機会を妨げない事業、とかで補助金くれるところないかなぁ。ないだろうなぁ。

ところが、現在の為替レートでは海外の方がグリベックが安いことが判明しました。これだと一年当たり薬価で100万円以上安いので、骨髄検査や血液検査の費用入れても総額の医療費は安いかもしれませんね。ただ、結局相当に円高が進まない限り高額医療費の範囲内*なので、支払う額は為替リスク(下記)を除けば変わらないという結論です。

*次段落で£=60円試算していますがそれでも基本的には高額療養費適用

(引用)
外貨で支払われた医療費については、支給決定を行う日の外国為替換算率(売りレート)により円に換算し、支給額を計算します。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,54413,94,151.html
(引用終わり)


為替リスクとしては、現地通貨で医療費支払いしてから、日本で支給決定を受けるまでに急激に円高が進むと、見かけの医療費が下がって支給額が下がるリスクが考えられますが、これはよほどの円高でない限り高額療養費制度の中で吸収されそうです。

例えば、1£=60円(今の円高相場のさらに半分)になっても3ヵ月分グリベックは31万円(ポンド建てで購入前提、£14.37×4錠/日×60円/£×90日)になるので、高額所得者扱いされると普通の3割負担ですが、一般所得者扱いされていれば多数回該当で結局44,000円程度に落ち着くということですね。逆の円安リスクは、3ヵ月分グリベックを購入の前提だと、結局のところ高額療養費の中で吸収されますね。


むしろ薬の3カ月以上の処方の前例を作る方が難しいかもしれません。3カ月処方を2枚もらい、片方を「長期の旅行等特殊の事情」によって半年は有効(んで、途中で両親とかに受け取りお願いして海外輸送)とかじゃないと、さすがに学期の途中に3カ月ごとに日本に戻ってくるとか面倒すぎるので。薬が現在の円高レートのおかげで思いのほか安いことが判明したため、最悪三か月に一回分だけは現地で診察受けて薬も買い、半年に一回は骨髄検査受けに日本に帰ってくるといった組み合わせが一番よいかもしれないですね。

以下、上の結論を導き出すまでに調べた参考情報です。(2012年8月1日時点)

・海外療養費が高額療養費の適用になるのかどうか
会社で入っている健康保険組合に問い合わせた結果、日本の医療費は欧米より安いことが多いので場合によってはかかった費用の1割もお返しできない場合があるとのこと。ただし、日本の標準治療でも3割負担で高額療養費に該当する金額ならば、高額療養費制度は適用されて負担額は抑えられるとのことです。

・民間保険
http://www.aiu.co.jp/travel/price/plan/study-price.html
AIU保険による海外留学保険に問い合わせて確認しましたが、31日を超える長期滞在については、持病による治療費を一切補償できないとのことでした。ま、保険だからそりゃそうやね。

・英国でのグリベックのお値段
https://secure.novartis.co.jp/direct/index.html
ノバルティスダイレクトに問い合わせたら、翌日に電話で回答がありました。さすが大企業。

100mg錠剤と400mg錠剤の二パターンあるらしいですが、100mgの方は一箱60錠で£862.19、400mgの方は一箱30錠で£1,724.39で、結局のところ100mgあたり£14.37と同じ水準のようです。後ほどこれらの値段は、NHS(National Health Services)参加のNeLM(Natioanl electronic Library for Medicens)のページでも確認できました。
http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/News/2010---December/10/Novartis-announces-7-price-increase-of-imatinib-Glivec/

これを、現行レートの1£=125円で日本円に換算すると1錠約1,800円と、日本の現行の薬価1錠2749円から比べると35%も安くなり、1£=約190円になるまではポンド建てで英国で購入した方がお得なようです。

・投薬/処方期間の限度について(保険医療機関及び保険医療養担当規則)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32F03601000015.html
第二十条  医師である保険医の診療の具体的方針は、前十二条の規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。
二  投薬
 投薬は、必要があると認められる場合に行う。
 治療上一剤で足りる場合には一剤を投与し、必要があると認められる場合に二剤以上を投与する。
  同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。
 投薬を行うに当たつては、薬事法第十四条の四第一項 各号に掲げる医薬品(以下「新医薬品等」という。)とその有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一性を有する医薬品として、同法第十四条 の規定による製造販売の承認(以下「承認」という。)がなされたもの(ただし、同法第十四条の四第一項第二号 に掲げる医薬品並びに新医薬品等に係る承認を受けている者が、当該承認に係る医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一であつてその形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る承認を受けている場合における当該医薬品を除く。)(以下「後発医薬品」という。)の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。
 栄養、安静、運動、職場転換その他療養上の注意を行うことにより、治療の効果を挙げることができると認められる場合は、これらに関し指導を行い、みだりに投薬をしてはならない。
 投薬量は、予見することができる必要期間に従つたものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行い、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとし、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならず、厚生労働大臣が定めるものについては当該厚生労働大臣が定めるものごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
  処方せんの交付
 処方せんの使用期間は、交付の日を含めて四日以内とする。ただし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りでない。
 前イによるほか、処方せんの交付に関しては、前号に定める投薬の例による。

血液検査結果は良好


白血球数が少し増えてきましたが、血小板数が少し減りました。まあ全体的には低位安定で問題なしとのことです。

なお、先生に留学の相談をしたところ、グリベックの薬代はreimbursement(払い戻し)が効かないかもしれない、と言われたので調べてみることになりました。次のエントリで検討します。

白血球数の推移


赤血球数の推移


血小板数の推移