以下引用(下線はブログ作成者が追加):
土曜日血液学会関東地方会に参加しました。どちらかというと各病院で問題のあった症例の検討発表会という内容のものです。当院からも珍しい症例を出してきました。
その中で、慢性骨髄性白血病のお薬、分子標的医療薬のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の副作用についての報告が2題ありました。
最近4種類目の薬も認可され、慢性骨髄性白血病はエイズと同じように死なない病気に変化しているのですが、長期間使うことでどうも副作用として脳梗塞、心筋梗塞、肺高血圧といった致死的疾患のリスクが上昇するのではといった報告が上がってきているのです。
チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の出現で、幹細胞移植をしなければ5年以内に70%以上が急性白血病に至り致死的であった慢性骨髄性白血病は、TKIを飲めば90%以上何もおきない疾患に変化しました。(どちらも正しい治療:お金または期待? 医者のさじ加減)
しかし最初のTKIグリベックが出てから14年、第2世代のTKIから6年前後の使用経験しかないため、長期の安全性というものは実はわかっていません。もちろんこの脳梗塞、心筋梗塞、肺高血圧等の副作用の出現はとびきり高いわけではありません。そして大部分の症例は薬をやめることで回復します。しかし不幸な転機を迎える方は残念ながらいらっしゃるのです。
じゃあ今回の馬鹿な記事のように薬を飲まない方がよかったのではにはなりません。飲まなれば治すことのできない急性白血病で命を落としてしまったからです。だからこそ、メリットの方がデメリットより高いから副作用をしっかりわかった上で患者さんに処方するのです。(もちろん個人の価値観は様々です)
元記事:
「現役医師20人『医者が飲まないクスリ』」を読んで
薬の使い方、マスコミはもっと勉強を
http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/305733/?category=opinion