イマチニブ使用の日本人CMLは予後良好だが欧米に比べlate responderが多い【血液学会2011】
→グリベックで細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)に1年で到達する人は6割程度だが、6年では94%!と高くなり、また7年半後の生存率は95%!と極めて高い(無憎悪生存率=病気進行がない生存も同レベル)ということから、「日本人では3割以上がlate responder(反応が遅い人)である」ということです。これだけ読むと「なんだ、グリベック飲んでればいいじゃん・・・」という気になりますが・・・。
日本人CMLのイマチニブ治療でCMRが24カ月以上あれば投薬中止しても無再発生存率が高い可能性【血液学会2011】
→CMLで薬飲んでいる人がみんな気になっている「いつか薬を止められるのか?」という疑問に対しては、分子遺伝学的完全寛解(CMR、要は白血病細胞が検出限界未満で見つからない状態)を2年以上続けた人が薬を止めた場合には(調査時点での)無再発生存率が78%で、2年未満CMRの人の15%と比べると統計的に有意に高いことが分かったそうです。当然、再発をチェックするために定期的な通院や血液検査は欠かせない生活でしょうが、それでもずっと望ましいことは間違いがないので、早めにCMRまで持っていくことが大事になりそうです。
初発の日本人慢性期CMLに対するニロチニブ、24カ月時の解析でも優れた分子遺伝学的効果【血液学会2011】
→こちらは、グリベックよりもタシグナの方が、CMLのファーストライン治療としても有効ではないか、という発表です(疑問形なのはサンプル数が比較治療ごとに20~30名のため一応)。どれくらいの差があるかというと、2年以内に分子遺伝学的寛解(MMR)に達成した割合が、タシグナが7-8割なのがグリベックだと4割という差があったということです。2年以内の分子生物学的完全寛解(CMR)だと、タシグナが4-5割なのに対してグリベックだと3割未満。
ここまで読んで考えるに、今年一年飲んで治療が進展しないようだったらタシグナに切り替えるかな・・・でも副作用が重そうなのが悩ましい。あと長く生きる前提では、グリベックが効かなくなった時のオプションは残しておくに越したことがない気もします。むー。
なお、無イベント生存、無病生存などの医療論文用語については、がん情報センターのこの表が分かりやすいです。
無イベント生存 | events free survival | EFS | 再発、増悪、合併症などがなく生存 |
---|---|---|---|
無病生存 | disease free survival | DFS | ほかの病気が発生することなく生存 |
無増悪進行生存 | progression free survival | PFS | 病気が進行することなく生存 |
全生存 | overall survival | OS | すべてを含めた生存 |
無再発生存 | relapse free survival | RFS | 病気が再発しないで生存している |
治療奏効維持生存 | failure free survival | FFS | 治療効果が持続している期間 |
無進行期間 | time to progression | TTP | 進行するまでの期間 |
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