2011年12月30日

記事紹介:日本人CML患者の研究に関する記事3本(日経メディカルオンライン)

日経メディカルオンラインに、昨年10月の日本血液学会のCMLに関する発表の興味深い記事が載っていたようです。

イマチニブ使用の日本人CMLは予後良好だが欧米に比べlate responderが多い【血液学会2011】
→グリベックで細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)に1年で到達する人は6割程度だが、6年では94%!と高くなり、また7年半後の生存率は95%!と極めて高い(無憎悪生存率=病気進行がない生存も同レベル)ということから、「日本人では3割以上がlate responder(反応が遅い人)である」ということです。これだけ読むと「なんだ、グリベック飲んでればいいじゃん・・・」という気になりますが・・・。

日本人CMLのイマチニブ治療でCMRが24カ月以上あれば投薬中止しても無再発生存率が高い可能性【血液学会2011】
→CMLで薬飲んでいる人がみんな気になっている「いつか薬を止められるのか?」という疑問に対しては、分子遺伝学的完全寛解(CMR、要は白血病細胞が検出限界未満で見つからない状態)を2年以上続けた人が薬を止めた場合には(調査時点での)無再発生存率が78%で、2年未満CMRの人の15%と比べると統計的に有意に高いことが分かったそうです。当然、再発をチェックするために定期的な通院や血液検査は欠かせない生活でしょうが、それでもずっと望ましいことは間違いがないので、早めにCMRまで持っていくことが大事になりそうです。


初発の日本人慢性期CMLに対するニロチニブ、24カ月時の解析でも優れた分子遺伝学的効果【血液学会2011】
→こちらは、グリベックよりもタシグナの方が、CMLのファーストライン治療としても有効ではないか、という発表です(疑問形なのはサンプル数が比較治療ごとに20~30名のため一応)。どれくらいの差があるかというと、2年以内に分子遺伝学的寛解(MMR)に達成した割合が、タシグナが7-8割なのがグリベックだと4割という差があったということです。2年以内の分子生物学的完全寛解(CMR)だと、タシグナが4-5割なのに対してグリベックだと3割未満。

ここまで読んで考えるに、今年一年飲んで治療が進展しないようだったらタシグナに切り替えるかな・・・でも副作用が重そうなのが悩ましい。あと長く生きる前提では、グリベックが効かなくなった時のオプションは残しておくに越したことがない気もします。むー。


なお、無イベント生存、無病生存などの医療論文用語については、がん情報センターのこの表が分かりやすいです。


無イベント生存events free survivalEFS再発、増悪、合併症などがなく生存
無病生存disease free survivalDFSほかの病気が発生することなく生存
無増悪進行生存progression free survivalPFS病気が進行することなく生存
全生存overall survivalOSすべてを含めた生存
無再発生存relapse free survivalRFS病気が再発しないで生存している
治療奏効維持生存failure free survivalFFS治療効果が持続している期間
無進行期間time to progressionTTP進行するまでの期間

2011年12月27日

CML適応四薬の副作用比較(2014年10月ボシュリフ追加)

グリベック(イマチニブ)、タシグナ(ニロチニブ)、スプリセル(ダサチニブ)、ボシュリフ(ボスチニブ)の四薬の副作用を、グラフにして比較できるようにしてみました。(こちらのページも更新)



比べて眺めた要点を以下にまとめておきます。
→は自分の副作用状況を鑑みた個人的なコメントです。

・発疹は3つのどの薬でも3-5割の高い割合の患者で起きている
→幸いにして発症していないのは、肌が強くないことを考えるとありがたい

・血球減少や貧血といった血液系の副作用もどの薬でも出ているが、グリベック・タシグナと比べるとスプリセルの患者に特に多く血球減少は2/3前後の患者に起きている
→これはしょうがないので付き合って生活の中で慣れていくしかない

・嘔気/悪心や嘔吐はグリベック、タシグナでは発生しているがスプリセルにはない
→これは日常生活においては結構なメリット、ただし食後にきちんと飲めばほぼ回避可能というのが経験則

・第二世代のタシグナ・スプリセルは頭痛・発熱といった活動しにくくなる副作用も3割程度の患者で発生しており、さらにタシグナは高ビリルビン血症(黄疸)や高血糖、スプリセルは、浮腫や胸水といった独自の副作用も2-3割の割合で起きている
→副作用が重くなるように思えるので、グリベックが効くならありがたい


2011年12月24日

イレッサ事件判決を受けて(医療ガバナンス学会)

肺がん治療薬イレッサ(一般名・ゲフィチニブ)の副作用を巡る訴訟の控訴審判決で、東京高裁が1審判決を覆して国と企業の賠償責任を否定しました。リンク先の医療ガバナンス学会が導入経緯とその訴訟に至る構造を解説しておりわかりやすかったです。

知り合いの医者に聞いたところ、この薬は手術もできない患者に対して効いてどんどんがんが小さくなった、ということがあるらしいので、やはり使い所の問題なのかなと思っています。

この文章では「プロ意識に欠如した医師によるエビデンスに従わない安易な過剰投与」と結論付けられていますが、患者としては「効くかもしれない」のならば薬効外(イレッサの場合は乳がんやすい臓がん)でも自由診療でお金を相当払っても試してみたい、という気持ちは分かりますし、自分が医者、患者どちらの立場になったときにも100%否定できるとはとても思えません。悩むとは思います。

しかしながら分野別に発展を重ねた現代医療においては、目の前の医者が全てをわかっていて白紙委任ですべて委ねても大丈夫ということは残念ながら医者もスーパーマンではないのであり得なく(たまたま担当になった場合や希少疾患の場合は特に)、きちんとした事前説明はあったのだろうと思いますが、そのような切羽詰まった段階ではなく、少なくともリスク(副作用)のないリターン(効果)はない、ということだけでも義務教育のどこかできちんと周知徹底するべきかなと思います。

あと、中立を謳うマスメディアこそ、得意の両論併記をこういうエビデンスベースな科学的な分野にこそ保持して欲しいところです。

2011年12月11日

親知らずとロキソニン

ポップコーンの破片か何かが挟まったかで下顎の親知らずの回りが炎症になってしまい、なかなか治らなくて困っていたところ、ロキソニンを一錠飲んだらぴたっと痛みがやみました。ここまではっきりと効いた薬は久しぶりであります。

歯医者には、親知らずが深く神経まで触っているので結構大掛かりに抜く必要があるがCMLのことも考えるとクリニックでは無理なので大学病院行ってくださいと言われているので、次の検診のときに先生に相談するのを忘れないようにしないといけませんね。

2011年12月5日

「2011/12/4 つばさ支援基金報告セミナー」のメモ(前半のみ)


前半部分のみ(=支援基金への申し込み状況と対象3疾患の概要)参加してきました。

CMLについては既知の内容でしたが、MDSとGISTについては全く知らなかったので勉強になりました。先生方、分かりやすいプレゼンをありがとうございます。後半の患者からの声、医療費問題についてもWeb上で簡易の報告があるとありがたいのですが。。。

■第三期になってからの申し込み状況(日本臨床研究支援ユニット 大西さん)
・生活保護など非課税の方は対象外で、一定以上の所得があり、第三期からは一方で子供の人数を換算して生活状況を加味
・問い合わせへの対応コールセンターをNPO日本臨床研究支援ユニットが受付
・累計で838件の架電中で、宮城・鳥取の二県からはいまだゼロ
・平均すると毎月十件程度の申請申し込み(継続含む)、累計125件を審議
・助成件数は95件で全てCML、MDSとGISTはこれから

■MDS 骨髄異形成症候群(荏原病院 秋山秀樹先生)
・MDSによる骨髄の機能低下に対し、赤血球は輸血ができるが白血球はできない。血小板は一時的な輸血は行われることはあるが実際には継続困難
・一定の比率で「白血病」化とでもいうべき病状進行になる
・最近まで有効な寛解維持の薬がなく、唯一の治療法は骨髄移植のみ
・IPSS、国際予後分類によるリスク度合いにより、2年程度から10年まで死亡に至る時間が異なるので正しい分類が必要
・ハイリスクの人達は移植によるメリットを受けるが、ローリスクのひとは移植によるデメリットが大きい
・2010、11年年になってレナリドミド(レブラミド)、注射用アザシチジン(ビダーザ)という新薬が承認され、長期寛解維持の可能性が出てくるが新薬は非常に高く薬価ベースで月に100万円程度!かかる

■GIST、消化管間質腫瘍(大阪警察病院 西田俊朗先生)
・GISTとは骨肉腫の親戚、内側の筋肉層にできるのがGIST。ちなみに癌とは粘膜細胞や粘膜下層などの表面細胞の変異
・発生頻度は年間で10万人に1-2人と少ない。ただし、60代の胃の十人に1人は芽があるらしい
・粘膜下腫瘍は偶然に見つかり、表面が粘膜で覆われているため潰瘍等にならなければ自覚症状はほとんどない。気づいたら肝臓転移や腹膜播種ということも。術後三年は三割が再発で長期には四割程度が再発
・術後の再発防止にキナーゼ阻害剤としてイマチニブ。効果は遺伝子変異によるので注意が必要。但し、飲んでもGIST細胞は根絶されないので血中濃度を保ってきちんと飲み続ける必要。
・イマチニブ(グリベック)も二年経ったら四割が効かなくなる。セカンドラインはスニチニブ(スーテント)だがより『抗がん剤』らしいといってはあれだが副作用が大きい
・現在開発が進んでいる新薬(名称聞き漏らし)はグローバル・フェーズ3(大規模な患者の服用によるエビデンスの確立)の段階まで進んでおり、フェーズ2(少数患者の服用による効果・安全性確認)は想定よりも大幅にポジティブな結果

ここまでで別件があり途中退出しましたが、色々考えることができました。特に事業的に考えたキー・クエスチョンは2つです。この2つに対する仮の答えを出したいですね。
1・ビジネスの問題、すなわち付加価値を付けて対価を取りに行くか、再分配の問題、すなわち非営利でコスト回収、どちらを目指すべきか
2・薬価が高すぎる、、、希少疾患はすべてこのようなエコノミクスでないと成立しないのか、既存Pharmacoへのアタッカーとして参入できないか

2011年12月3日

柏レイソル優勝

柏レイソルがJ1初優勝を達成しました。J2優勝=昇格から1年目の優勝は、今後もなかなかありえない記録だと思います。超アウェイの浦和レッズで、敵サポーターのブーイングと大声援にも負けずに勝って優勝を決めてきました。大ファンの嫁が泣いており、僕も嬉しかったです。

試合開始前の一文字。正面でないので見難いですが「柏」です。後半はこの写真に写っているビジター席の上側から応援しました(買った席がバックスタンドのど真ん中で回りがレッズで真っ赤だったので身の危険を感じて)


ビジター席からみるとこんな感じでした。優勝が決まって選手・スタッフ・サポーターが喜びを爆発させているシーン。回りは真っ赤で、ビジター席も半分なので四面楚歌ならぬ三・五面楚歌な雰囲気が伝わるかと。

2011年12月2日

「2011/12/4 つばさ支援基金報告セミナー」のお知らせ

日曜日につばさ支援基金第3期の報告セミナーがあるようなので一部参加してこようと思います。

第3期は対象疾患をMDS(骨髄異形成症候群)、GIST(消化管間質腫瘍)にも拡大して、控除後収入の水準もだいぶ緩和していたので支援結果をお聞きするのが楽しみです。
元リンクはこちら

つばさ支援基金第3期対象(引用)
助成対象疾患:
・CML(慢性骨髄性白血病)
・MDS(骨髄異形成症候群)
・GIST(消化管間質腫瘍)
助成対象条件:
・所得168万円までの家庭の、上記3種いずれかの成人患者
・所得240万円までで、高校生までの子どもが1人以上の家庭の、上記3種いずれかの成人患者 ・所得380万円までで、高校生までの子どもが2人以上の家庭、上記3種のいずれかの成人患者 
※いずれも所得とは総収入ではありません(諸控除後の収入です)。 

(以下貼り付け)

つばさ支援基金報告セミナー
第3期・助成対象を拡大して
これまでの詳細レポートと今後への展望
●参加呼びかけ対象:がん医療費に関心のある全ての方

●配布資料予定:つばさ支援基金寄附状況、事業報告、
●配布資料予定:助成対象疾患ネットワークの諸活動、ほか
日 時:2011年 12月 4日(日)午後1時〜4時
会 場:AP西新宿ビル 会議室
会 場 (東京都新宿区西新宿7-2-4 新宿喜楓ビル)
参加費:無料
プログラム
司会:NPO法人血液情報広場・つばさ 橋本 明子

1. つばさ支援基金の問い合わせ状況等の解析と解説
NPO法人日本臨床研究支援ユニット/JCRSU・臨床研究コールセンター 大橋 靖雄 先生
2.助成対象疾患 —病態と長期寛解維持を可能にした治療についての解説
●慢性骨髄性白血病・CML … 東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科 市川 幹 先生
●骨髄異形成症候群・MDS … 都立荏原病院 内科 秋山 秀樹 先生
●消化管間質腫瘍・GIST … 大阪警察病院 外科 西田 俊朗 先生

3.医療費問題の実感を語り合う
●現場からの治療費実感 —CML患者さんへのアンケート活動から抜粋
慢性骨髄性白血病患者・家族連絡会「いずみの会」 田村 英人 さん
●新規助成対象への想い
GIST・肉腫患者と家族の会「GISTERS.NET」 西舘 澄人 さん
骨髄異形成症候群 MDS連絡会 星崎 達雄 さん
●受給者からの手紙
●医療現場で患者さんに対応してきて ほか

4.医療費と日本の今、これから
●高額な治療と社会保障
早稲田大学法学学術院
菊池 馨実 先生
●いま問われているがん医療費とこれからの日本の医療費
国立保健医療科学院研究情報支援研究センター
福田 敬 先生
5.フリートーク
はじめに つばさ支援基金を運営して、痛切に感じたこと
日本全体で連動していくべき方向性を考える
フロアから / パネラーの方々から
■お問い合わせ

NPO法人血液情報広場・つばさ
03-3207-8503(月〜金 12時〜17時)

つばさ支援基金(NPO法人JCRSU・臨床研究コールセンター)
0120-711-656(月〜金 10時〜17時)

2011年11月29日

契約更改

久しぶりに軽くグリベックの副作用でむかむかしました。駅で買ったタコス・サンドイッチ一つでは、胃の中身として足りなかったようです。

来期の契約更改も終わり、ワガママ社員をやりながらも昇級してベース給与は上がったけども、今年のボーナスが会社想定よりは少なかった(会社平均よりは上だけども)ので残念です。去年のボーナスよかったから年収あんまし変わらんわ。

まあ、五月丸々有給でのんびりとか、やりたくないプロジェクトをやんわりお断りしたりとか、行かなくてもいい日は自宅サテライトオフィスとか好き勝手にやっているので一切文句は言えないかぁ。ツレにもそう言われたし。さらによく考えると今年の総労働時間は3割くらい減らせているので時給で考えると大幅増(笑)この時給で毎日2時まではたらくと外資投資銀行とかの給料になるに違いない。無理やね。

2011年11月17日

9ヶ月目の検診は問題なく

は特に何も問題なく終わりました。血球数値も概ね安定してきて白血球・赤血球・血小板どれもなんとか正常値下限すれすれかやや下でまあ問題はない感じです。次は3ヶ月後の2月に、投薬後12ヶ月の骨髄検査ですね。

また3ヶ月分のグリベックをまとめて購入しましたが、今回からパッケージが変わって「グリベック」という文字が大きくなったようです。ミオナール等込みでざっと30万円という支払いにももう慣れました(苦笑)。残念ながら?今年の7月以降は高所得者になっているはず(現在7月分の高額療養費還付を申請して確認中ですが)なので、半額は帰ってくることになりますね。

以下は血球数値の経過です。わかりやすいように発病発覚後からの時系列にしました。骨髄抑制というほどではないにせよ、投薬開始後に白血球・血小板はすぐに効果が出ていますが、寿命が長い(120日前後)赤血球が少し7月に底を打っているのは納得ですね。

白血球数(直近:3100/ulと標準下限を少し下回る)

血小板数(直近:153万/ulと標準下限ぎりぎり)

赤血球数(直近:402万/ulと標準下限を少し下回る)

2011年10月30日

旭川旅行写真

10月末の週末で旭川に行って来ました。メインは旭山動物園と大雪山(旭岳)でした。どちらも大満足です。
動物園は、主義主張をはっきりとした既存の動物へのお客さんの見方(例、ヒヨコを餌にするなんて「可哀想」)に対する挑戦を含んだ、でも大上段ではなく手作り感にあふれた素敵な動物園でした。

旭山動物園のペンギンたち

キングペンギンの親子(子供はこの夏に生まれたばかり)

木の上に寝そべるヒョウ

昼間は寝ている狼たちの丘

同じく昼間は仲良く寝ているシマフクロウのつがい

もぐもぐタイムでダイブして魚を食べているシロクマ(のお尻)

橋を渡っているレッサーパンダ

大雪山(旭岳)をロープウエイ駅を降りたところから一望

地獄谷から上がる水蒸気

夕日の沈むマイルドセブンの丘

2011年10月18日

会社で受けた健康診断の結果

忙しい日々を送っておりますが、9/26に受けた会社での健康診断の結果が帰ってきました。腎機能で引っかかりましたが(尿蛋白)、再検査を受けたら全く問題なしでした。検診の直前にお手洗いに行ってしまい、検診時に搾り出すように残尿を検尿したのがいけなかったのではないかと。。。笑

全般的には良好で、血液関連も安定してきて、白血球数はだいぶ戻ってきたようです。グリベックも飲み忘れず何とかやっているので、この調子でぼちぼちいきたいところです。

白血球数(直近:3500/ulと標準下限ぎりぎり)

赤血球数(直近:389万/ulと標準下限より少し下)

血小板数(直近:149万/ulと標準下限ぎりぎり)

2011年10月13日

静岡旅行写真集

友人と10月の三連休で行った静岡旅行の写真です。メインは大盛り上がりしたロダン立ち(笑)

初日)
・浜松駅前の八百徳本店にて鰻重で景気付け
浜名湖パルパルという風情のある遊園地を楽しむ(やなせ先生、キャラクター名に「ワインオイシーナ」はさすがにどうかと・・・)
>
地魚料理専門 魚魚一でめちゃくちゃ美味しい海鮮を頂く

二日目)
神秘の鍾乳洞・竜ヶ岩洞を満喫
はままつフルーツパークであけび狩り
・意外と小さかった本田宗一郎ものづくり伝承館
・焼津にて昭和初期の風情のある寿屋酒店で焼さんまを食べて大満足

三日目)
・5時半に起きて日の出を見たような見なかったような・・・
玉露の里でお茶を頂く
・コスモス畑を経て、旧東海道と明治トンネルを探索
県立静岡美術館にてロダン立ちを満喫(写真は、考える人のきついポーズに耐え切れず倒れこむ瞬間と、地獄の門の前に佇む嫁)

2011年9月21日

グリベック投薬後半年、初のコピー数結果は250

先月の投薬後半年マルクの結果を聞いてきたところ、定量PCR法でのコピー数(数十万の細胞のうちの白血病細胞数)は250でした。 先生曰く、「だいぶよい結果ですね」とのこと。100コピー数が目安なんですか、と聞いたところ人によって目安は様々で、継続的に減っていくことを確認することが大事と言われました。

あとでこちらの医療関係者向けのグリベックのサイトの治験結果をきちんと読んだら、bcr-abl遺伝子が当初の1/1000(3 log; MMRの定義)に早期(リンク先のスタディでは18ヶ月段階でのMMRの到達を目安として層別して分析している)に減ったかどうかのようで、通常は診断時に十数万コピー数であることからパンフレットなどでは目安として100コピー数としているようです。

まあ当座の僕の目標もここらでしょう。このMMR/分子遺伝学的寛解を、一年以内(来年の春までに)に達成したいものです。引き続き、飲み忘れしないようにしないと。今のところ、6ヶ月間で2回というところですかね。。。

2011年9月12日

血液がんの遺伝子発見 東大、骨髄異形成症候群で(共同通信)

同じく希少疾患・難病の骨髄異形成症候群(MDS)の原因となる変異遺伝子を特定したそうです。こういうニュースがあると嬉しいですね。

http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011091201000010.html
(以下、転記)
血液がんの遺伝子発見 東大、骨髄異形成症候群で  血液のがんの一種「骨髄異形成症候群」の原因遺伝子を発見したと、小川誠司・東大特任准教授(がん分子遺伝学)らのグループが12日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
同症候群の原因遺伝子が判明したのは初めて。新たな診断法や治療薬の開発に役立つという。
グループは、日本、ドイツ、台湾の24~88歳の患者29人の遺伝子を詳しく解析。2人以上に共通して変異していた遺伝子を複数見つけた。
その中には、生体内でDNAの情報をもとにタンパク質がつくられる際に、不要な情報を切り取る編集作業のために働く遺伝子があった。 2011/09/12 05:37 【共同通信】

2011年9月7日

慢性骨髄性白血病と向き合う方へ 改訂二版

いずみの会よりCMLパンフレットの改訂二版が届きました。第二世代の薬についての表記が増えたようです。

あと、新設されたノバルティスによるCML解説サイト(CMLステーション(音が出ます))の紹介リーフレットも入っていました。動画による説明がとてもわかりやすくなっています。(ただし、動画閲覧できるPCで見る必要、FLASHなのでiPadでは無理なよう・・・)

再来週に、この前の骨髄検査の結果を聞けるのが楽しみです。細胞遺伝学的完全寛解(Ph染色体が骨髄細胞から見つからない状態)の維持と、分子遺伝学的効果(BCR-ABL遺伝子の割合が一定以下)くらいまでいっていると、治療後半年としては順調な方なのでいいなぁ。

2011年8月24日

半年目マルク終了

通算三回目、グリベック投薬後半年の骨髄検査を受けてきました。今日の担当の人は今までで一番丁寧で、麻酔後に間をあけてくれたので痛くなかったです。

一ヶ月ごの定期検診で、この前のと合わせてbcr-abl遺伝子コピー数を聞けるので今何合目まで来ているのかクリアーにはなりそうです。

お昼寝代わりにいい感じに休息できたのでこれから再び仕事へ。

2011年8月5日

グリベックの後発薬(ジェネリック) イマチニブ(Imatinib)あるいはビーナット(Veenat)

インドではグリベックの特許が認められておらず、ジェネリック薬ができているようですが、商品名が「イマチブ(IMATIB)」のようです。一般名(物質名)は「イマチニブ」なので分かりやすいですがなんだかなぁ。
インドにおける特許およびノバルティス社による訴訟に関するQ&A

2011年8月5日追記)上記部分的な勘違いのようでした。こちらの個人輸入サイトだとイマチニブ(Imatinib) あるいはビーナット(Veenat) となっています。

ちなみにこちら、120カプセルで約2万4千円なので、1カプセルは200円と、グリベックの値段の1/10未満とお安くなっているようです。これでも発展途上国では高いといえば高いけど、だいぶ生き延びるためのハードルが下がりますね。HIV/AIDSのワクチンもそうですが、新薬が出せなくなると患者も長期的には困るし、かといって買えないような値段だと患者は短期的にもっと困りますので、個人的にはこのインド特許庁の判断は「アリ」だと思います。

製薬メーカーは、各国で生活を破壊しない程度の薬価でしっかりと利益を出してサステイナブルにしつつ、効率的に開発を進めて難病の薬やオーファンドラッグも出していってほしいものです。

個人輸入サイトはこちら

2011年7月30日

7/30 つばさ定例フォーラム「血液がん 新たな治療と新たな課題」備忘録

結構今更ながら理解することもあってとても勉強になりました。白血病の種類は、造血幹細胞から分化するどこの細胞が遺伝子異常を起こしているかで異なり、CMLは造血幹細胞という一番根っこの異常(そしてAML、CLL等は違う分化後)という基礎的なところすらわかってなかったことが判明です。苦笑

あとで時間があるときに構造化は直すとして、とりあえずメモをそのままアップしておきます。プレゼンターごとに■マークで区切っています。岡本先生のが論点も明確で面白かった。黒川先生はわかりやすいですが、概論の担当をされていたので、そこまで切り込んでくる感じはなかったです。

■血液と血液がんの病態(東大医学部附属病院 血液・腫瘍内科 黒川峰夫先生)
正常の血液はどのようなものなのか
・血液の成分は血漿が55%、血球が45%。血漿は有機物(蛋白7%など)、無機塩類、水。血球は血小板(15万~35万/ul)、白血球(4,000-10,000/ul)、赤血球(男性は450-550万/ul、女性は400-500万/ul)
・赤血球は寿命が120日くらい。一日あたり2千億個が生まれて同じだけ廃棄。赤血球は全身に酸素を運ぶ
・白血球は病原体から体を守る。リンパ球、好酸球、好塩基球、単球などがあり守備範囲が異なる
・血小板は出血を止める
・骨髄のなかにある造血幹細胞という起源となる細胞が、赤血球・白血球・血小板といった多様な細胞へ分化する。自己複製、増殖能力がある
・成熟した赤血球・白血球・血小板は血管の中を流れているが、成熟する一歩手前(前駆細胞)までは骨髄の中で営まれており血液中に出てこない

血液の異常である病態はどのような病気で、どのように起きるのか
・血液細胞に遺伝子の変化が生じ、異常増殖するようになったもの。異常増殖したがん細胞は、正常な造血や内臓の機能に障害を与える
・血液腫瘍(悪性リンパ腫と白血病)はがんのおよそ3-4%。障害の罹患率は悪性リンパ腫が1%、白血病が0.5-0.7%
・血液腫瘍の5年生存率は、悪性リンパ腫で50%、多発性骨髄腫で25%、白血病で30%とがんの中でも難治な部類。主な造血器腫瘍は、急性骨髄性/リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病。悪性リンパ腫、多発性骨髄腫(成熟リンパ系腫瘍)

更に細かい白血病の説明
・慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の異常(BCR-ABLキメラ遺伝子が生じる疾患)
・造血細胞の段階でBCR-ABL遺伝子が生じ、無秩序な分化を起こす
・t(9;22); 9番目と22番目の染色体が融合したPh染色体→PCR-ABL融合遺伝子。ABLがキナーゼ活性を高め、血液細胞の増殖を亢進
・キナーゼ活性をブロックするのがイマチニブの役割
・無治療の場合には5~10年の経過で進展し、急性白血病のように未分化な細胞が異常増殖

・急性リンパ性白血病リンパ球系共通前駆細胞に遺伝子異常が起きる
・悪性リンパ腫は、さらに分化したリンパ球に遺伝子異常がおきる

・急性骨髄性白血病は、骨髄球系共通前駆細胞に遺伝子異常が起きる
・遺伝子異常は、増殖シグナルの活性化により増殖が亢進し、正常分化が阻害される
・t(8;21); 8番目と21番目の染色体がちぎれてつながる=転座、他にはt(15;17)など
・遠心分離した時に、赤血球が減って増えた白血球の白色が肉眼でも分かるくらい
・芽球(blast = 白血病細胞)は、形態的には造血細胞の幼弱な状態に似ているが遺伝子異常を起こしており正常な機能を担えない

標準療法と臨床治験
・標準治療=ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療。科学的根拠に基づいた観点で、現在理由できる最良の治療(evidence-based)
・エビデンスとは、この薬や治療法、医療行為についてよいといえる証拠。症例報告・大家の意見<分析的研究<ランダム化試験の順で科学的信頼性が高い
・ランダム化試験とは、患者を無索引に割りつけて治療方法を分けて効果を比較
・高いレベルでのエビデンスを得るために臨床試験を行う。その中で治験とは、医薬品の製造・輸入承認を申請するための資料を得ることを目的とした臨床試験

質問:何が原因で血液がんになるのか、何かやってはいけないことをしたのか?
・遺伝子に傷がつくことは日常生活にあるが、通常はそうした異常細胞は体内で処理されるが、その網の目をどうにかくぐり抜けてしまった細胞が増殖する

質問:放射線治療を受けた患者は、福島原発事故の影響でリスクが倍増するのではないか?
・リスクは受けた線量に応じて発症するが、線量の少ない・多いと、がんの程度は相関せず、高い線量だと確率が高まるので被曝をしないほうがよい

■血液がんの治療について(慶應義塾大学病院 岡本真一郎先生)
造血器腫瘍の治療法
1.化学療法(Chemo)
・最初の頃は、インディオの毒矢の成分から作られた。例えば、オンコビンという薬はマダガスカルのニチニチソウという花から作られた
・主な抗癌剤は、DNA/RNAの損傷や合成阻害を起こす薬剤か、微小管の機能を抑制する薬剤
・細胞周期(サーキット)の途中で、異常な細胞は各々のフェーズにチェックポイントがあり異常があれば細胞をもとに戻すメカニズムがある
・白血病細胞では細胞周期チェックポイントの壁が低く正常に機能しない(分裂期崩壊 Mitotic Catastrophe)、そこに働きかけるのが化学療法

2.造血幹細胞移植(MTA)
・造血幹細胞の悪いところだけを切り取れないので、細胞をまるごと取り除いてしまい、そのあとで正常な造血幹細胞を移植する
・前処置: 腫瘍細胞の根絶、֭�常造血の破壊、免疫系の破壊
・造血幹細胞の移植: 恒久的造血の回復(2-3週)、恒久的免疫系の回復(3-4月)
・同種免疫反応の制御: 移植片対宿主病(GVHD)、免疫系再構築遅延に伴うウイルス感染症→治療の進化で早期死亡は1割程度にまで減少
・造血幹細胞だけを抽出することは難しいので、骨髄血液を吸引して移植。あるいは、最近では臍帯血にも造血幹細胞が多く含まれているので凍結保存をしておいて使う。また、白血球を増やすG-CSFをドナーに投与して、造血幹細胞が増えるところだけを取り出す末梢血幹細胞を採取
・世界の骨髄バンクでの比較では、骨髄輸出・輸入をしなくても造血幹細胞の「自給自足」が成立
・無菌室のQOLも向上し、現在ではほぼ日常と同じような格好で生活可能
・移植片対白血病効果(GVL): GVHDを起こした人は、その後の再発が少ない。おそら⁏、免疫反応を起こすT細胞が白血病細胞も攻撃して腫瘍を根絶するのではないか。
・骨髄破壊的移植では元気な比較的若い患者しか対象に出来なかったが、骨髄非破壊的移植(ミニ移植、RIST)で高齢者やほかの病気のある人も対象に。ただ、移植後後期合併症(慢性GVHDや二次発性がんなど)の問題は以前抱えている
・慶應病院では、AMLへの移植で、寛解期では生存率85.5%、寛解期でないと生存率は46.7%。移植関連死亡は1年半後までで10.2%
・個々の患者の遺伝子検査による移植の予後予想法の確立が今後の課題
・“No guts no glory, and we made it”、血液内科のチーム医療としての移植

3.分子標的療法(SCT)
・突然変異によって生まれたがん細胞自身やその生存・増殖環境を選択的に対処する(ゴルゴ13w)
・受容体型チロシンキナーゼの異常とは、特定のタンパク質の結合がないのにチロシンキナーゼが常に活性化されている状態であり、その活性を阻害する
・イマチニブは、BCR-ABL蛋白のリン伝達プロセスを阻害。このプロセス以降に細胞死を抑制したり細胞増殖を亢進する他のタンパク質の伝達を全て止めることが可能。このような「アキレスのかかと」を他の造血器腫瘍ではみつかっていない
・ただし、イマニチブは飲み続けないといけないので費用的な問題は存在

今後の方向性
・造血器腫瘍のがん細胞における幹細胞を叩く(蜂の巣における女王蜂)
・Nicheと呼ばれるくぼみに血液がん幹細胞が隠れていると推測されており、取り出して攻撃できないか研究
・現状でそれを実現できるのは現状では造血幹細胞移植のみ
・治療の目的は、根治だけてなく、QOLを保った製造期間を少しでも長く維持する
・EBMだけでなく、Narrative-based Medicine(NBM)。臓器障害・予後因子と異なる患者側の因子(人生観・家族・仕事など)を考慮
“Medicne is an art based on science” 医者と患者が協力して組み上げるart

質問:移植して3年、しびれが厳しいがどうにかならないのか?
しびれは問題として残っている。なかなか対応が難しいがしびれが始まった段階から色々な薬を使う

質問:CMLの22歳女性(12歳で発症)、今後妊娠は可能か?
化学療法・グリベックを含めて治療をしているときには妊娠は薦められない。がいろいろな対策が進んでいる。詳細は分科会で。

質問:多発性骨髄腫でなぜ同種移植の条件が厳しいのか?
比較的高齢者が多いのでなるべくいい生存期間を伸ばそうとすると移植の位置づけはあとになる。若い方の場合は積極的に考えても良い

■CML分科会: 慢性期の治療2011
治療段階の確認
・血液学的寛解(HR): 血球数が正常値に
・細胞遺伝学的寛解(CgR): BCR-ABL遺伝子量(通常ABL遺伝子のうち)が1/100以下。Ph染色体が見えなくなる
・分子生物学的寛解(MMR): BCR-ABL遺伝子量が1/1000以下。コピー数が検出不能な段階まで行くと完全寛解(CMR)。同じレベルの中でコピー数が増えたり減ったりは危なくない。それより前のレベルに戻ると効いていない判斷

第二世代の薬(ダサチニブ、ニロチニブ)
・8年のうちで37%が効果不十分でやめている(CCyR達成できないのが18%、CCyR達成後の効果喪失が8%)ので第二世代を検討
・ただし、第二世代でも20%位は中止になっているので留意が必要
・第二世代の薬は、グリベックとオーバーラップする副作用の程度は軽い。しかし、別の副作用が出る。ニロチニブは高血糖や黄疸、ダサチニブは胸水
・変異ABLの種類によって第二世代の薬を選択。T3151蛋白異常の場合は薬の効きが悪いので、造血幹細胞移植を検討
・第二世代の薬の効果としては、MMRへの移行率は高く、急性転化も少ない。しかし、2年間の治験では生存率では差がない。また、グリベックのジェネリック薬よりもはるかに高い

イマチニブ中止の分析研究(フランス)
・半数近くがMMRを維持。長く飲んでいた患者のほうが効果がよい
・再発後もイマチニブ治療再開で前例が良好な効果(MMR)に戻る
・イマチニブで再治療しないでも再び良好な結果(MMR)に戻る例もある
・増殖細胞は抑えられたが、CMLの造血幹細胞は残存しているのではないか
・Total cell kill (TCK)ではなく、functional cureを治癒の定義にすべきか

質問:第三世代のボスニチブの治験は受けられるか?
治験なので血球数が条件になるので確認が必要。なお、血球の減少は第二世代でも第三世代でも共通の課題であり、CML治療前に正常な造血幹細胞が攻撃を受けているのではないか。だましだましやらないといけない

質問:抗うつ剤を飲む必要があるのだが副作用は大丈夫か?
副作用は検討されているので主治医に確認して欲しい。暗くなる必要はないので薬を飲み続けて欲しい

質問:イマチニブ中止についてどこで受けられるか?
慶應病院だけでなく他の病院でも始まっている。チロシンキナーゼ阻害剤を止められるかの研究をやっているので、二年間CMR維持で止める研究に入ることは可能。6ヶ月で再発する、しないが分かるのは一つでもCML造血幹細胞があるかないかが反映される、数学的にmake senseする問題。

質問:マルクの痛み緩和、頻度減少は可能か?
下手な先生は麻酔を打ってからすぐやってしまうのがいけないのではないか。浸潤麻酔なので少し時間が必要。末梢血で代替できるものもあるが、詳細なデータはマルクが必要なので、慶應病院でも半年に一回はやっている

質問) 角膜の出血の副作用はなんとかならないか
グリベックではなかなか変わらないので、ずっと起こる方はニロチニブの方がよいかもしれない

■血液がんのチーム医療 Multidisciplinary Care
・チームA: 患者、血液内科医、看護師: 医療の提供、エビデンスの確立
・チームB: 患者、患者会、ソーシャルワーカー、ボランティア: 主観的な判斷の尊重
・チームC: 基礎研究者、製薬企業、骨髄バンクなど: 活動のサポート
・患者がチームの中心

■<チーム血液>の緩和ケアと在宅医療(慶応大学病院 緩和ケアチーム 安達先生)
・緩和医療は根本治療ができない終末期だけでなく、がん診断をうけた早期から緩和医療に関わる
・住み慣れた家庭や地域での在宅医療支援の充実
・精神心理的苦痛等を含めた全人敵な苦痛に対する緩和ケア
・ご家族への緩和ケア

在宅医療支援者(医者、看護師)へのアンケート結果
・血液がん(多発性骨髄腫、MDS、等)の在宅支援についてについて質問
・輸血、希望の変化、連携の不足、治療方針、抗癌剤、経験がないなどの問題点はあるが、血液の在宅医療推進については前向き
・退院時カンファレンス、外来通院経過、緊急時の受け入れを含めた病院専門医とのこまめでスムーズな情報共有と連携が必要
・地域、スタッフ、患者・家族、メンバに顔の見える緩和ケアを目指して

■病とともに地域で生きる(あおぞら診療所 川越正平先生)
在宅療養支援の中核をなす考え方=地域を病棟と捉える
・自宅が病院なら病室、地域の道路が廊下。在宅医や訪問看護師が巡回して、病棟に近い機能を提供(検査部、手術室以外)し、24時間365日の安心を提供する
・在宅医や訪問看護師が緊急訪問を保証することが、ライフラインと同様に重要

血液疾患患者の在宅医療導入例
・多発性骨髄腫で身体機能に障害→メルファランやサリドマイドによる治療を継続
・MDSに対して継続的輸血を必要としているが高齢、認知症、身体機能障害がある
・リンパ腫や白血病に対する負担の大きな治療を断念し看取り目的

専門医と在宅医への併診例
・化学療法後の食欲不振、嘔気に対する点滴
・白血球減少時のG-CSF連日投与
・腫瘍の皮膚浸潤に対する頻回の創処置 など
→まず地域の在宅医療機関や人材を把握する必要

治癒が勝利で死亡が敗北だけではない。病と共存する生き方も目標となり得る。生きている間の苦痛が少なく生活の質が高い状態が望ましい

「主治医」の見つけ方
・外来だけでなく往診にも取り組んでいる
・自分と相性がよさそうだという直感がきっかけ
・患者としての自分だけでなく、家族の健康さんに乗ってくれる
・急病の折に時間外でも相談に乗ってくれる
・自分の専門外のことは、きちんと他の専門医を紹介してくれる

■緩和ケアと在宅医療(青葉区メディカルセンター 藤田さん)
訪問看護師・ケアマネージャーであると同時に患者である
2007年2月 CML急性期で発症・入院
同年9月 骨髄移植、3ヶ月後に退院。筋肉量が落ちており、関節の痛みもあって介護保険検討
2008年2月 介護保険申請→要介助2/3と診断されるも申請受理されず
同年3-8月に訪問リハビリ(3割負担で医療保険を利用)→意思の指示が必要、訪問介護ステーションでサービス提供、週2回利用で月2.2-2.5万円
2008年10月 仕事復帰

■血液がんと在宅看護(あこもけあ在宅支援センター 所長・看護学修士 松木満里子)
・箱根の麓に在宅支援センターを設立
・医療保険の枠内だけではできない、保険外サービスで買い物やドライブも提供(外出支援)して、医療依存度が高い在宅患者に全面的なサポートを展開
・退院後の通院に介護タクシーを活用できる

諸問題
・介護保険を使えないと福祉用具は全額実費。但し保険適用外でもレンタル値段は安くなっているので家族への負担も小さくなる。業者に相談してみるといい
・感染症対策は実は病院にも菌はたくさんいる
・痛みや急な状態変化に対応してくれるサービスは広がっている

以上

2011年7月22日

つばさ支援基金 これまでの経緯(日経BP)

基金額はほぼ予想(二千万円)通りの金額でした。これまでの経緯が分かりやすくまとまっているので保存しておきます。

ソースは以下に貼り付けた日経BPがんなびの記事より。

(ここから貼り付け)
2011. 5. 2
高額な薬剤費負担を少しでも軽く―支援団体がCML患者を助成 「つばさ支援基金」が報告セミナーを開催
渡辺千鶴=医療ライター

高額な薬剤費負担により、治療継続を断念するがん患者が増えている。そんな患者を救うべく、血液がん患者支援団体「血液情報広場・つばさ」は、経済的問題を抱える慢性骨髄性白血病(CML)に対して医療費の一部を助成する活動を行っている。活動開始から半年が過ぎた今、どんな問題が浮かび上がっているのか。そして今後、がん患者の自己負担分の保障はどうあるべきなのか――。3月27日、東京都内で報告セミナーが開催された。

「つばさ支援基金」を創設し、経済的に困窮するCML患者の支援に乗り出した「血液情報広場・つばさ」理事長の橋本明子氏

高額な薬剤費負担により、治療継続を断念するがん患者が増えている。特に、慢性骨髄性白血病(CML)のように、治療薬を服用すれば飛躍的に生存期間が延びるがん患者にとっては非常に深刻な問題だ。

「失われた命は2度と戻ってこない。国の制度が不備であるという理由で、治療が間に合わないということがあってはならない」。こう訴えるのは、血液がん患者支援団体のNPO法人「血液情報広場・つばさ」理事長の橋本明子氏だ。

「血液情報広場・つばさ」は、CMLで長男を亡くした橋本氏が1994年に立ち上げた患者支援団体で、血液がんの患者やその家族を対象に治療や医療、療養に関する最新情報を提供してきた。さらに97年より電話相談業務にも参画し、患者や家族の悩みを直接聞いてきた。そして2010年10月に「つばさ支援基金」を創設し、経済的に困窮するCML患者の支援に乗り出した。患者支援団体による医療費支援は、わが国では初めての試みだ。

患者支援者、臨床医、学者らの思いが一つになり基金設立へ
3月27日に都内で開催されたつばさ支援基金報告セミナーでは、最初に橋本氏が「つばさ支援基金」発足までの経緯を語った。

橋本氏によると、07年頃から同法人が主催するフォーラムや運営協力する電話相談などで、CMLの薬剤費の高額化が問題になり始めたという。そこで09年12月に厚生労働省に対し、高額療養費の自己負担限度額の見直しを求めた要望書を提出。「しかし、国の制度の見直しを待っている間にもCML患者の経済的状況はさらに悪化し、高額な薬剤費が社会問題として取り上げられるようになりました」と、橋本氏は当時を振り返る。

国の制度改正を待っていては間に合わないと危機感を覚え、民間でできる救済策はないかと考えた橋本氏は、血液内科医をはじめ医療経済や法律の専門家とも話し合いを重ねるようになり、「つばさ支援基金」の構想が生まれたという。

橋本氏らは基金を立ち上げるために募金活動に奔走し、製薬企業や社会事業団、個人などの協力を得て2500万円余りの寄付金を確保。4人の臨床医や研究者で構成される諮問会議を設置し、助成の基準や期間を決めた。

手始めに、10年10月から11年3月を第1期助成期間とし、3つの条件(囲み参照)をすべて満たし、かつ高額療養費の自己負担額が月4万4000円以上になる患者を対象に、月額2万円を助成するという仕組みを作った。

※「つばさ支援基金」第1期助成の条件
(1)CMLと診断されて1年以上の治療を受け、現在も治療が必要な状態であること
(2)70歳未満であること
(3)年間の世帯所得の合計が132万円未満で、高額療養費の所得区分が「一般」に該当すること
そして、実際の対応業務は、電話相談事業などで協力関係にあり、個人情報保護態勢が整備されているNPO法人日本臨床研究支援ユニット(理事長:大橋靖雄氏)に委託することにした。

第2期助成では世帯所得の条件を引き上げ、支援対象者を拡大
「つばさ支援基金」の対応業務を委託されているNPO法人日本臨床研究支援ユニット理事長の大橋靖雄氏が、全国からの問い合わせ件数、助成申請件数、審査件数など、第1期の状況について報告した。

大橋氏によると、同基金の対応業務を委託された日本臨床研究支援ユニットのコールセンターには、助成募集を始めた昨年10月から今年3月までの半年間で、409件の問い合わせがあったという。「新聞やテレビで紹介されたことによる反響は大きく、1日に43件の問い合わせを受けた日もありました」と大橋氏は説明した。

409件のうち、患者本人や家族からの問い合わせは359件で、医療関係者や行政からの問い合わせもあった。患者・家族からの問い合わせのうち、CML患者・家族が74%を占めていた。また、1年以上治療を継続している患者からの問い合わせも80%に上った。

ところが、問い合わせは多くても年間の世帯所得の合計を132万円未満という条件を満たす患者が少なく、これまでに全国から申請されたのは32件で、実際に助成が認定されたのは18件にとどまった。「患者や家族から、世帯所得に関する条件を緩和して、支援の対象者を広げてほしいという要望が寄せられた」(橋本氏)。

このような反響や実績を基に、諮問会議で対象疾患や金額、条件、期間を改めて検討した。その結果、年間の世帯所得の合計を132万円未満から168万円未満に引き上げることになった。この見直しによって、この4月にスタートした第2期では月100人のCML患者の支援が見込まれている。

一方、助成対象疾患については、当面はCMLに限定することになった。橋本氏は「助成する対象疾患については引き続き検討したい。将来的には他のがんにも広げていきたいが、まずはCMLで支援の定型を作りたい」と話した。また、同基金では助成金を確保するために継続的に募金活動を行っており、セミナーの参加者からも資金確保のアイデアが提案された。

最適な治療が確実に続けられる環境を
これらの活動報告に続いてセミナーでは、がん患者の高額な薬剤費負担をどうすべきかということについても話し合われた。諮問会議の委員である東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科教授の黒川峰夫氏や、東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学准教授の福田敬氏、早稲田大学法学学術院教授の菊池馨実氏も参加し、それぞれ専門的な立場から解説した。

CMLの病態や治療法について解説した黒川氏は、分子標的薬の登場でCMLはコントロールできる病気となったが、現時点では内服薬を中止できるかどうか分かっておらず、医師の指示通りに内服を継続する必要があることを強調。その上で、「最適な治療を確実に続けられる環境を整備することが極めて重要だ」とコメントした。

また、近年、高額ながん治療薬や治療技術が登場し、医療費がさらに増える傾向にあり、その負担方法が課題となっていることを踏まえ、福田氏は日欧の自己負担の現状を比較。「英国では費用対効果に優れる技術や薬剤の使用を推奨し、原則として患者負担もない。フランスは重篤度に応じた自己負担になっており、がんの治療薬は公的医療保険において患者負担はない。このように患者の自己負担は、治療の費用対効果や疾病の重篤度に応じて設定されるべきだが、日本では、費用対効果に関係なく、原則3割の自己負担。高額療養費制度は使えるものの、高額な医療技術を用いる際には自己負担が大きい」と指摘した。

そして、「日本が、費用対効果や疾病の重篤度に応じた対応がすぐに実現できないのであれば、経済的な理由によって有効な治療が受けられないことがないように対策を講じる必要がある。つばさ支援基金はその1つの対策になると考えて、この活動に参加している」と語った。

日本の社会保障と医療費について持論を展開した菊池氏は、「国民の2人に1人ががんに罹患するという一般性を考えると、がん患者の自己負担分の保障は高額療養費制度などで十分に対応できるように見直すべき」と主張。そして「社会保障費や医療費について本格的な財源論を行う時期に来ている」とコメントした。

そして、最後に橋本氏が「薬剤費の高額化はがん医療全体にかかわる問題。多くの人が参加しやすく納得できる基金の体制を作りながら、今、困っている人に、今、支援できる人が支援するという理念に基づいてサポートしていきたい」と、改めて決意を述べた。

「つばさ支援基金」第2期助成 問い合わせ先
NPO法人日本臨床研究支援ユニット・臨床研究コールセンター 
0120-711-656(月~金10時~17時)

(貼り付け終わり)

2011年7月21日

最近のランチ事情

6月28日以降の一月弱(24日分)のランチ記録がございませんが、本日まで副作用が殆ど一切ございませぬ。久しぶりに一応覚えている範囲で書き記しておきます。

7/9: おにぎり、パン→母校の高二向け進路懇親会(職業紹介)に参加したためお昼は移動中に軽食。懇親会は「もしあなた達が校長になったら?」と​軽いワークショップをやったら、期待以上に学生の経営的センスが​高く、学生間の質疑応答も面白かったです
7/10: 炎天下の河原で野球練習後(久しぶりに20本くらい連続でノック受けたらへろへろ)に野菜カレー
7/16: 冷麺・チャーハンセット@日高屋
7/17: 法事後に豪華懐石ランチ、日本酒で気分良く酔っ払う@広島県 日本料理屋 三嵋
7/18: 徹夜での女子ワールドカップ観戦(最期まで諦めない、なでしこ達の素晴らしい試合でした。これ以外の勝ち方は漫画でも想像できない。事実は漫画より奇なり。)のため睡眠不足だったので、軽食で済ませたら予想通り気持ち悪くなりましたが、帰りの新幹線でiPad2でゲーム(FF3)をして紛らわしていたら大丈夫になりました。ビバ、スクエア・エニックス。
7/19: 夏野菜天せいろ大盛り
7/20: ちくわ・ホタテ・エビお茶漬けセット
7/21: おにぎり・唐揚げ弁当

来週水曜日に、5月の骨髄検査の結果を確認できるので、その数値が2月よりよくなっているといいなぁ。

2011年7月8日

グリベック持ち歩き用に、デスクに置いても格好いいドラッグケース

飲み忘れを防ぐため数日分のグリベック(とミオナール;筋肉のコリを解す薬)を入れる用のドラッグケースを探していて、結局楽天でこちらを購入しました。

サイズは38x38x19mmと小さいので、ポケットに入れても全然かさばりません。

ご覧のように3日分程度のグリベック+ミオナールだったら余裕で入ります。グリベックだけなら5-6日分位入ります。

あと、毎日携帯のアラームを設定して、飲み忘れ防止策にしております。

全国健康保険協会 東京支部 住所

高額療養費申請先の住所を備忘録的に残しておきます。申請書はこちらから。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/9,0,123.html

とりあえず3月と5月分を申請したので数カ月後には50万円弱は帰ってくるはず!

〒141-8585
品川区大崎5-1-5 高徳ビル
全国健康保険協会 東京支部 宛

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,0,84.html

2011年6月29日

つばさ支援基金 諮問会議傍聴

つばさ支援基金の諮問会議を傍聴する機会を頂いたので行ってきました。
電話問い合わせ対応、広報あたりが主な議論の対象になっていました。議論の中身は書きませんので、以下は聞きながら考えたことです。

つばさ支援基金の現在の対象は、①70歳未満、②一般所得区分(住民税納税しているが月額53万円未満)のうち世帯年収168万円未満、③1年以上治療継続となっており、①②の条件が厳しく特に2007年時点で8000千人以上いる(治験ナビ)とされる患者数の大部分が対象となっておらず、ドタ勘ですが1割前後の500-1000名ではないかと感じました。

このPPTのようなアンケート調査も行われているので、そこの所得分布から推測する必要がありますが(これをまずやりたい)、これだけ絞っているのはやはり使える金額の総額が少ないからではないか、という印象を受けました。

これまでの取り組みを存じ上げていないので、ファンドレイジングと広報(全国に分散する1万人未満の特定病気のセグメントにどうやってリーチするか、という難問)のどちらの優先順位が高いのか、またお話をお聞きして確認して、うまく自分のコネクション・ネットワークとスキルセット(経営コンサルティング、ファンドレイジング経験、等)を活かせるように関わっていきたいと思っております。

2011年6月27日

ランチ記録(6/20-27)

6/20: 魚の日替わり定食
6/21: 昨晩の残りお弁当+コンビニおにぎり
6/22: 長崎皿うどん@リンガーハット
6/23: つけ麺+味玉子
6/24: カルビ焼き肉定食
6/25: あんかけチャーハン
6/26: おにぎり2個
6/27: ネギ卵牛肉ぶっかけ冷うどん

副作用:なし

風邪もすっかり治ったし、副作用も何かすっかり出ないいい感じです。

2011年6月19日

2011/6/19 つばさフォーラム 「特集・白血病」備忘録(主に急性白血病について)

6月19日の日曜日に開催されたつばさフォーラム「特集・白血病」に参加してきました。
直接CMLの話はなかったですが色々と勉強になりました。部分的ですが、メモを残しておきます。

■アジェンダ
I 血液と白血病について知ろう
造血の仕組みと白血病の病態
東京慈恵会医科大学附属第三病院 薄井 紀子 先生
II 白血病の治療とその後について学び、考えよう
1)様々な治療と成績、治療選択
杏林大学病院 高山 信之 先生
2)小児白血病治療における晩期障害軽減に向けて
a)小児急性リンパ性白血病の新統一プロトコールにおける予防的頭蓋照射の全廃について
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)急性リンパ性白血病委員会委員長/中通総合病院 渡辺 新 先生
b)小児白血病治療における認知発達への影響とその対処法
国立成育医療センター 臨床研究センター 船木 聡美 先生
III 闘病生活での様々な支援
1)移植中、通院化学療法中の感染症対策ほか、闘病へのアドバイス
移植看護ネットワーク/国立がん研究センター中央病院 荒木 光子 さん
2)より良い生活とより良い治療のために 早期からの緩和ケア
辛い治療をじょうずに乗り越えるために、緩和ケアの基本的考え方をうかがいます。
国立がん研究センター中央病院 緩和医療科・精神腫瘍科 的場 元弘 先生
より良い闘病のために・・・何でも訊こう   講師全員
会場全体とのQ&A

■開催主体
共催:NPO法人日本臨床研究支援ユニット(JCRSU)、JCRSU・がん電話情報センター、
共催:NPO法人白血病研究基金を育てる会
後援:JALSG(日本成人白血病治療共同研究会グループ)
企画・総合司会:NPO法人血液情報広場・つばさ 橋本明子

(ここから個人的な備忘録)
■造血の仕組み
・血液は血漿と血球からできている
・血球は赤血球と白血球と血小板の三種類
・血液細胞すなわち血球は骨髄で造られる、赤血球なら一時間に百億個、白血球なら一から十億個も生成されるプロセス
・白血球の一種である好中球は12-14日間で排出

■白血病とは
・幼若な芽球が血液中に増える、過形成され無秩序な白血球の増加
・原因は細胞の分化、増殖に関わる遺伝子の量的変化、質的変化
・急性acuteと慢性chronic、骨髄性とリンパ性の組合わせで四パターン
・年間発症は十万人に6-7人 うちAML50 ALL25 CML20 CLL5。ALLは子供に多い、CLLは欧米で多い

■白血病治療の基本戦略
・白血病細胞を除去し、正常骨髄機能を回復
・完全寛解を目指した寛解導入療法、寛解を維持するための寛解後療法の大きく二段階
・AMLは完全寛解八割前後、生存率四割前後、ただし予後の結果は染色体異常の種類によって大きく異なる
・例えばAPLは中国で開発された治療法により寛解率九割、生存率八割になった

■AML(急性骨髄性白血病)の治療
・化学療法は最初はよく効くが、再発すると抗がん剤が効かない白血病細胞が増えて効かなくなってしまう
・そこで、造血幹細胞移植という選択があり再発後の生存率は高いが、合併症で亡くなる割合が二割程度存在する
・完全寛解に至る確率は高いが、その後に無治療では二年以内にほぼ全例再発するため地固め療法が必要。白血球が増え始めたころから実施。弱い寛解後治療は維持療法と呼ばれる

・造血幹細胞移植とは、大量化学療法と全身放射線照射により腫瘍細胞と正常細胞と一緒に根絶、その後に造血幹細胞の輸注を通常は点滴で行い2-4週間でドナー由来の造血細胞が働きはじめることを目指す
・HLA型の違いが拒絶反応を引き起こすため一致を確認するが、一般には万分の一程度の低確率で一致していても、マイナー組織適合抗原のミスマッチによりドナーのT細胞がレシピエントの臓器に攻撃を行なう場合がありGVHDと呼ばれる(移植片対宿主病)
・ただし、GVHDが出現した症例は再発の可能性が低くなりGVL効果、移植片対白血病効果で残存白血病細胞の駆逐に役立っていると考えられている
・他の移植後合併症は、臓器障害、感染症、晩期障害

・最も望ましい移植タイミングは寛解期であり、非寛解期の移植成績は二割程度で頭打ち
・第一寛解期に移植をすると化学療法だけで治っていたかもしれないのにリスクを負わせる可能性があり、第二寛解期の移植が望ましいのではないか。将来の再発リスクを判定するやり方について現在も議論がなされている

・論文では移植症例は移植日まで生存していた生存症例カウントされるので割り引いて考える必要
・移植を除いた現実的な化学療法の無病生存率は30-40%、二年程度で半分強が再発、再発後に完全寛解に至ったのは半数
・移植の五年生存率は第一寛解期移植は6割前後、第二寛解期は5割前後、非寛解期は2割前後。非血縁だと5パーセンテージポイント下がる
・遺伝子検査による再発リスク判断からは、予後良好群は化学療法を、予後不良群は第一寛解期に移植を

■ALL(急性リンパ性白血病)の治療方針
・ALLはイマチニブで寛解後に速やかに移植を実施するのが基本方針(Ph遺伝子陽性型)
・化学療法のみの場合、無イベント生存率は四割前後
・思春期(16~20歳)のALLは成人プロトコールより小児プロトコールより圧倒的に生存率がよい(2/3対1/3)
・スタンダードリスク群とハイリスク群に分けると、ハイリスク群では移植と科学治療の差が有意ではない
・ただし、再発後の予後はAMLより悪く、早めの移植が日本での実績も鑑みると適切かもしれない
・ALLにも第二世代のチロキシナーゼ阻害薬の効果は期待されるが、今後の臨床研究が必要

■小児白血病治療の認知発達への影響
・ALLが多い。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすいため、それを薬を使って防いでいく(髓注やメソトレキセート大量療法)
・薬のみならず従来は放射線を使っていたが脳に対する副作用があり、新しいプロトコールでは全廃する

・化学療法だけのプロトコールでは、欧米での研究だと、認知的能力の発達するときの治療のため、認知機能変化は出ているが統一見解は生まれていないが、IQ低下が軽度あり読解力や算数の学力の軽度低下はある。しかし成長速度は落ちるが伸びは継続するので、継続的な刺激と教育が必要

・アメリカの実証研究で、一年に四回評価と計画を行なうことで、放置ケースと比べて介入することでIQを回復させられる(90→100)
・一方で、治療によって長期記憶、コミュニケーション能力、言語能力は低下しない!
・小児白血病の子供を持つ親御さんのためのegonokiクラブ

■移植中、通院化学療法中の感染対策
・昔の写真でみるような、ビニール越しの無菌室のような過度な無菌治療環境はもはや存在しない
・感染対策としての無菌化をやめてより効率化してきたため、感染予防ケアが重要に
・口腔・皮膚・陰部・肛門のケアを日常習慣として普段から行なう

・口腔内細菌数を増やさない→うがい、ブラッシング、食事形態、口内炎による痛みには鎮痛剤
・皮膚→洗浄し清潔に保つ、軟膏等で湿潤環境を保つ、鎮痛剤を使いつつ歩くための工夫
・感染予防ポイント→人ごみにはいかない、埃を吸い込まないようにマスクをする、土いじりはしない、工事現場に近寄らない、こまめに手を洗う、フットケアを行なう、ペットボトルは開けて数時間以内に飲み切る、等々


■緩和ケア palliative care
・患者や家族がつらくないように、がんやがん治療と付き合っていくための方法論
・がんの経過に従って、病変自体の治療から痛みの治療と緩和ケアに移行していく
・緩和ケア=がんの治療を諦めることではない
・肺ガンの論文で、緩和ケアを受けた群の方が生存期間が長かったというスタディ結果もあり

・日本人が終末期に大切にしたいこと→苦痛がない、望んだ場所で過ごす、希望や楽しみがある、医師や看護士を信頼できる、家族の負担にならない、患者ではなく人間性を尊重される
→患者としてではなく、自分として死にたい

・痛い、食欲がない、眠れないので生活ができなくなる様な我慢をしてもしょうがない
・痛みを感じる神経線維には伝わるのが早い遅いの二種類あり、a-delta繊維とc繊維があり、がんの痛みが通じるのは後者でありモルヒネ等はそちら効く
・モルヒネ等は誤解されているが、麻薬中毒にならない、命は縮まない、だんだん効かなくならない、眠気は出るが意識はある、最後の手段ではなく他にもたくさんある、お花畑にはいけない(笑)

・痛みの伝え方→どこが、いつから、どんなふうに(鈍い、刺すような、痺れる、いつも、時々、じっとしている、動くとき)、どれくらい、痛みでできないこと、使っている薬の名前
・苦痛のない生活を維持することも、治療と同じように大事
・苦痛の緩和の治療はがんに対する敗北宣言ではない
・患者自身にしか、つらさがあることを伝えることはできない

■Q&A
・移植は何歳まで可能か?→七十歳あるいは八十歳を超えて挑戦している病院もあるが一般的にいえば効果があるかは何とも言えない、治療抵抗性・難治性でも救援療法はあるが輸血中心に緩和目的の方向転換も重要。在宅輸血治療を定期的に行なう場合、下世話な話だが、保険査定の対象となるので引き受けてもらえない可能性もある

・発酵食品を食べてはいけないのか?→発酵食品を禁止している施設もあるがヨーグルト等は、発熱していて余程白血球が少ない場合でなければ、食べたいものを食べて免疫力えを高めるほうが大事ではないか

・フィラデルフィア遺伝子陽性のAMLで化学療法で寛解後再発したがグリベックを飲んで再寛解した。今後も化学療法で進めるのがベストなのか?→医学的な結論は出ていない問題。五十六歳という年齢は移植医によっては判断が別れる微妙なところだが、全身状態がよくHLA一致ドナーがいることが大前提だが、移植も選択肢にいれたほうがよいかもしれない

・子供への移植と教育について→移植をしたかしないかでその後の生き方はやはり変わる。フル移植をした方は何らかのサポートが必要。成年がんが出やすいかもしれない。子供達には自分の健康は一生自分で見ていくよう何回も強調している。さらに、教育は次の道を開くので、何としてもサポートをしていきたい。どこで引っかかるのか分かってきたので、それをすくい上げるシステムが必要

・司会のまとめ:血液がんの全般を特定疾患にすることは、医療費増大の状況下で難しいが、交通費無料や患者と家族が年に二回ヨーロッパ旅行に行けるなど、なんかしら社会からのサポートがあるとよい

2011年6月18日

グリベック飲み始めて初めて風邪を引く

6/14-18まで風邪で寝たり起きたりの生活でした。CMLになる前は、38度後半が出ても、だーっと汗かいて薬飲んだら大体一日くらいで治ってたものですが、やっぱり治りが悪いのか熱が下がったり上がったりでなかなか完治せず結局5日間もお休み状態でした(嫁が同じような風邪で二週間位苦しんでいたので、治りにくいお腹の風邪なのかもしれません)。お昼におかゆ一杯でも食べて、グリベックは毎日飲み続けられました。

三日で治らなかったので不安になりいつもの大学病院の血液内科に行ってみたけれども、曜日が違ったのでいつもの先生には診てもらえず、予約なしだったので3時間待った挙句、血液検査で抗体反応の蛋白(C反応性蛋白)が多く出ているから細菌性の風邪でしょうということで風邪薬としてアセトアミノフェンを出すというオチまで付いてくるし・・・相互作用の併用注意に「本剤と高用量のアセトアミノフェン(3~3.5g/日)との併用により重篤な肝障害が発現したとの報告がある。」はっきりと書いてあるのに、医者も薬剤師も知らずにスルーしたので、自己申告で医者に文句を言ってロキソニンに変えてもらいました。薬剤師に副作用あるんじゃないですか?と確認したときも「(端末を検索して)そうですね、飲んでいて目が黄色くなったりしたら危ないのでその時は飲むのをやめて下さいねー」みたいな軽いノリでした。。。

CML症例が多い天下の大学病院でもマイナーな病気はこんな扱いなので、やはり自分の身は自分で守らないといけないですね。風邪自体は、ロキソニンが効いたのか、土曜日にはだいぶ楽になり、日曜日には後述のつばさフォーラムに行ける位に回復して月曜日からは普通に出社しております。

2011年6月13日

ヒレカツ定食(淡路町 やまいち)

食事:ヒレカツ定食
副作用:なし

とんかつ定食が食べたかったのですが近場の丸五がやっておらず、しょうがないので淡路町までぶらりと足を伸ばして食べてきました。1600円のヒレカツ定食は、ヒレカツ一枚が食べやすいように八分割されており、肉もジューシーで美味しかったです。ちょっと遠いのでそんなには来られないですが、丸五よりはこちらの方がコストパフォーマンスがよいですね。

2011年6月12日

冷やしうどん

食事:冷やしうどん(納豆、大根おろし、オクラ)
副作用:ちょっと気持ち悪くなる

食事後1時間くらい散歩したら疲れたのか、少し気分が悪くなりましたが横になっていたら治りました。

2011年6月11日

ぶっかけうどん

食事:ぶっかけうどん(オクラ、とろろ)
副作用:なし

2011年6月10日

海鮮丼

食事:海鮮丼
副作用:なし

2011年6月9日

カレーライス・サラダバー(社食)

食事:カレーライス・サラダバー
副作用:なし

ビル共有の社食的なところに久しぶりに行きました。安くて助かります。新東京タワーが良く見えました。

2011年6月8日

フレンチコース(麹町 村上開新堂)

食事:アペタイザー、スープ、メイン(鴨肉)、デザートのフルコース

仕事のインタビューを兼ねて、インタビューの希望で訪れたお店が思いの外の超高級店で優雅なランチを楽しみました。一人頭6300円のコースに、飲み物・チーズで一人8千円かかりましたが。。。経費でどこまで落とせるかな。インタビュー内容自体は非常に価値がある情報を提供いただいたので費用対効果的には非常に高かったからよしとしましょう。

2011年6月7日

ヒレかつサンド

食事:ヒレかつサンド
副作用:なし

2011年6月6日

ランチ記録(6/3-6)&TOEFL初受験(6/5)

6/3: チーズバーガーセット
6/4: 冷やし中華@過門香 丸の内トラストタワー店
6/5: トマトドリア風のオムライス←TOEFL受験後
6/6: 焼きそば

副作用:全てなし

日曜日にTOEFLを初受験してきました。会場は横浜国立大学で、初めて行きましたが落ち着いた感じの大学でした。(横浜駅西口から14番系統のバスで20分程度で正門前)身分証明書が不足して家族に横浜までパスポートを運んでもらうというハプニングもありつつ、なんとか無事に終えました。

予想点数は、85/120というところでしょうか(Reading:25/30 Listening:25/30 Speaking:15/30 Writing: 20/30)。最近英語をしゃべってなかったので言葉がうまくつながらなかったのと、最後のWritingの二つ目で集中力が切れたのを感じましたが、定期的に英語文献を読んだり聞いていたお陰でそこまで英語力自体は落ちておらず、単語量増やす努力を再開して、あとはSpeaking/Writingの試験対策(時間を想定してまとめる工夫)をすれば点数は上がるな、と感じました。二週間後の結果が楽しみです。

現在使用している参考書:TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語

6/9追記
早くもテスト結果が返ってきました。総合99点で、全体的に予想より上振れしました。
SpeakingとWritingを対策すれば110点台もそんなに遠くない、という印象です。

Reading:30(予想+5)
Listening:26(予想+1)
Speaking:19(予想+4)
Writing:24(予想+4)
Total:99(予想+14)

2011年6月3日

血液がん・高額療養費制度の見直しを提案する連絡会をスタート(がんサポート情報センター)

09年12月3日にメディア向け懇談会を開催、以降で表立っては活動が止まっているようで残念なので、プロボノとして、どっかのコンサルティングファーム(具体的にはヘルスケアに強いマッキンゼーかBCG)とかの知恵をうまく活用できないでしょうか。NPO法人つばさ、CML患者会「いずみの会」に入ってプレゼンスを上げてから色々仕掛けていきたいと思います。とりあえず6月19日の急性骨髄性白血病のセミナーには行こうと思います

なお、がんサポート情報センターの2010年4月の記事はコチラ


一生飲み続ける慢性骨髄性白血病薬の経済的負担は「重い」
医療費負担の軽減のため高額療養費制度の見直しを!

取材・文:菊池憲一(社会保険労務士)
(2010年04月号)
分子標的薬グリベック(一般名イマチニブ)などの登場で、慢性骨髄性白血病患者の生存率は飛躍的に延びた。
しかし、患者は高額な薬を生涯服用しなければならず、その経済的負担は大きい。慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」など血液疾患支援・患者団体4団体は共同で、医療費負担の軽減のため、高額療養費制度の見直しを訴えている。

負担軽減を課題に掲げた患者・家族の会を発足

写真:田村英人さん
「いずみの会」代表の田村英人さん
慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」は、「グリベック服用の負担軽減」を大きな課題に掲げて、「高額療養費制度の見直し」を提案している。
代表の田村英人さん自身、2003年4月、53歳のときに、慢性骨髄性白血病を告知された。同年6月から、グリベックを服用している。
幸い、グリベックで寛解()に至ったが、病気が完全に治ったわけではない。寛解は、治癒、根治、完治とは違う。治療をしないでいると、白血病細胞が再び増えてくる可能性がある。そのため、グリベックなどの薬を、生涯服用しなければならない。しかし、薬は高額である。田村さんも、経済的負担に苦しみ続けている。
田村さんは病気になったとき、インターネットなどで情報を探し、いろいろな機会を求めて、フォーラムなどにも参加した。しかし、同じ白血病でも種類によって治療は異なり、病気に対する感じ方も違っていた。
「慢性骨髄性白血病の人だけが集まって、話し合える場がほしい、という意識が強くなりました」と田村さん。
血液がん患者会のNPO法人血液情報広場「つばさ」主催のフォーラムで、その思いを語ったら、代表の橋本明子さんらから応援を得ることができた。
2007年秋、慢性骨髄性白血病患者会発足の準備会を立ち上げて、同年12月、「いずみの会」を発足させた。
同会は、2009年4月、会員やフォーラムの参加者に呼び掛けて、アンケート調査を行った。
慢性骨髄性白血病患者が治療を受けるにあたって日頃から抱いている思いや、治療上困難に感じている点について把握し、よりよい治療方法について、患者さんの家族、または医療者、製薬会社への情報発信を行うことが調査の目的だった。
137人の回答からは、左記のような結果が出た。
慢性骨髄性白血病の治療では、「治療に関わる医療費の負担」を困難と感じる割合がとくに多く、経済的な負担が最も大きな問題であることが明らかとなった。
また、現在ほしい情報については「自身の今後の見通し」に次いで「医療費」が多かった。
田村さん自身、高額な医療費に苦しんできたから、この調査結果はよく理解できた。
寛解=病気の症状が軽減またはほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態

4団体共同で高額療養費の見直しを訴えていく

写真:09年12月、報道機関を対象とした「高額療養費に関する懇談会」を開催した
09年12月、報道機関を対象とした「高額療養費に関する懇談会」を開催した
2001年に登場した慢性骨髄性白血病治療薬グリベックにより、長期生存を期待できる患者は増えた。しかし、この治療には高額の医療費がかかり、また治療期間も生涯と長期にわたる。そのため、患者の経済的負担は大きい。
長期間にわたって、高い治療費を患者が負担しなければならない状況を受けて、昨年12月、「つばさ」「いずみの会」「日本骨髄腫患者の会」「骨髄異形成症候群(MDS)連絡会」の血液疾患支援・患者団体4団体は、「血液がん・高額療養費見直しを提案する連絡会」(代表・橋本さん)を発足させた。 4団体は共同で、高額療養費制度の自己負担上限額の引き下げを訴え、その早期実現を第一に目指す考えだ。
また、連絡会は昨年12月3日に、報道向けの懇談会を開催。
(1)がん・非がんすべての疾病ごとに「高額医療」を知識として集めて共有する、(2)地方自治体に医療費問題での協力を要請する、(3)シンポジウム開催(5月9日早稲田大学井深ホール)――など、今後の活動内容についても発表した。

高額療養費の払い戻し額は病院の領収書で予想できる

日本の健康保険法と国民健康保険法には、高額療養費制度がある。これは、被保険者()または被扶養者が同一の医療機関(薬局を含む)に対して、同一の月に、窓口で支払った医療費が自己負担限度額という一定の額を超えた場合、その超えた額を還付する制度である。
自己負担限度額は、40頁表のように年齢や所得によって多少異なる。また、高額療養費の支給要件、払い戻し額などは、医療機関から全国健康保険協会や健康保険組合などの保険者()に提出されたレセプト(診療報酬明細書)1件ごとに、保険者が確認する。そのため、高額療養費制度による払い戻しがあるかどうかは、患者側にはわかりにくい。それでも、病院の領収書と薬局の領収書を見れば、予想はできる。
例えば、所得が「一般」に区分される50歳代の被保険者Aさんが外来通院をした場合、次のようになる。
外来診療費の領収書の合計保険点数と、薬局の領収書の合計保険点数を足した保険点数に10円をかけた額が表の「医療費」となる。この額を表の計算式に入れて計算すると、「自己負担限度額」が出てくる。実際に医療機関の窓口で支払った額から自己負担限度額を差し引いた額が「高額療養費」として、Aさんの個人口座に払い戻されることになる。
被保険者=健康保険に加入し、病気やけがなどをしたときなどに必要な給付を受けることができる人
保険者=健康保険事業を運営するために保険料を徴収したり、保険給付を行ったりする運営主体
[70歳未満の方の高額療養費自己負担限度額]
(70歳以上の方と70歳未満の方の世帯合算を含む)

区分表記自己負担限度額12カ月の間に4回以上対象となる場合の
4回目からの自己負担限度額
一般B80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円
上位所得者
(国民健康保険税の算定の
基礎となる基礎控除後の所得が
600万円を超える世帯)
A150,000円+(医療費-500,000円)×1%83,400円
市民税非課税世帯C35,400円24,600円
[70歳以上の方の高額療養費自己負担限度額]
区分自己負担限度額
外来
(個人ごとに計算します)
世帯単位で入院と外来が
複数あった場合は合算します
一般12,000円44,400円
現役並み所得者44,400円80,100円+(医療費-267,000円)×1%
(4回目から44,400円)
市民税非課税世帯II8,000円24,600円
I15,000円
医療費の総額(10割)となります

患者負担は薬代だけで年間約60万円!

グリベックの「薬剤料(薬価)だけ」にしぼって、試算してみると――。
グリベックの薬価は、3128.5円。標準的には、1日4錠服用する。外来通院で、医師からグリベックを1日4錠、4週間分(28日分)を処方してもらうと、保険点数にカウントされる薬剤料だけで35万円ほどになる。患者の自己負担割合が3割なら、Aさんが医療機関の窓口で支払う額は、薬剤料だけで10万5000円ほどになる。
表の式で計算すると、自己負担限度額は8万0930円。窓口で支払った額10万5000円から、自己負担限度額8万0930円を差し引いた2万4070円があとで払い戻される。
Aさんは、10月中、11月中、12月中に、外来通院で、グリベックの4週間分の処方を受けた。3回とも、同じ計算式にもとづいて、高額療養費が払い戻された。翌年1月中の外来通院のときは、「多数該当」となり、自己負担限度額は4万4400円に軽減された。診療を受けた月以前12カ月以内にすでに3回以上高額療養費が支給されているときは、4回目から自己負担限度額が軽減される。Aさんの場合、翌年1月中に受診したとき、この多数該当が適用された。窓口で支払った10万5000円から、自己負担限度額4万4400円を差し引いた6万0600円があとで払い戻された。もし、翌年2月中、3月中……という月1回の外来通院リズムで、4週間処方を受け続けたら、毎回、自己負担限度額4万4400円が適用される。
しかし、自己負担限度額が4回目以降、4万4400円となっても、薬代だけで年間の負担額は約60万円(4回目以降、4万4400円×12回=53万2800円)にものぼるのだ。

処方間隔を3カ月にすることで負担は減少

薬の投与量は、厚生労働省の「規則」「告示」などで、1回14日分、30日分、90日分を限度とする、などと決められている。この「規則」「告示」などを調べた結果、グリベックには投与期間の上限が定められていないことがわかった。
「直近12カ月の間に、4回以上対象となる場合の自己負担限度額は4万4400円と定められています。そのため、現状制度での経済的負担額の低減方法としては、処方間隔を3カ月(90日分)にすることで患者さんの負担はとてもミニマムになります」(田村さん)
この方法を、Aさんのケースで試算してみると……。
Aさんが、医師の理解と協力を得て、3カ月処方に切り替えると、年間の自己負担限度額は17万7600円(4回目以降、4万4400円×4回)となり、4週間処方に比べて、年間35万5200円(53万2800円-17万7600円)も医療費負担が軽くなる。

現状制度での負担軽減法を周知徹底していく

「まずは、グリベックの3カ月処方で慢性骨髄性白血病患者さんの医療費負担が軽減できるように、この方法を周知徹底するための広報活動に取り組んでいきたい。また、今後は、長期治療中の患者さんの負担軽減のために、高額療養費制度の自己負担限度額をもう少し生活実感に近い金額まで引き下げられないか、など制度そのものの改定を訴えていきたいと思っています」と田村さん。
1疾病、1剤、1治療法に焦点を当てるのではなく、高額療養費制度自体の改定を、連絡会として訴えていきたいという。
「最終的な夢は、慢性骨髄性白血病の治癒につながる薬が開発されることです。そうすれば、薬を一生服用する必要もなくなり、経済的な問題もなくなります。患者、医療従事者、製薬会社が協力し合い、情報交換をして、思いが1つの方向にまとまるように今後も努力していきたいと思います」(田村さん)