2014年1月10日

記事紹介:CML悪化の仕組み解明?

「金沢大など、慢性骨髄性白血病悪化の仕組み解明」という題名の記事が日経新聞オンラインに出ていました。しかしながら、特に専門誌のフォローもないようなので飛ばし記事の可能性を疑っていましたが・・・

金沢大など、慢性骨髄性白血病悪化の仕組み解明 
2014/1/6 23:35日本経済新聞 電子版
(以下は記事より引用)
 研究チームはがん細胞を右の太ももの骨に植えたマウスを使い、詳しく調べた。がん細胞が出すCCL3の血液や骨髄中の量はいったん増え、左の太ももの骨にがんが転移した段階では減った。一方、CCL3を作らないようにしたがん細胞を移植すると転移が起こらず発症しなかった。
 (引用終わり)

元ネタらしい金沢大学のページがきちんとあり、研究論文もきちんと登録されているようです。

マウスのCMLモデルで、白血病細胞が産出するタンパク質CCL3が正常の正常造血幹/前駆細胞(hematopoietic stem/progenitor cells; HSPCs)を骨髄外に流出させてしまうため、白血病細胞が増殖するスペースが生じるメカニズムが特定でき、ヒトCML患者の骨髄内でもCCL3の過剰発現がみられるため、CCL3の発生を叩くことができればCML悪化を止めることができるかもしれない、ということのようです。

仮にこれが真実だったとしても、CCL3発現を止めて白血病細胞が駆逐されるわけではないとすれば(この点は説明では不明瞭ですし、ひょっとしたらまだ特定されていないのかも)、現状のチロシンキナーゼ阻害薬以上の効果(すなわち寛解ではなく完治)については期待薄なのではないでしょうか。

もしCCL3発現を止めることで白血病幹細胞が死ぬのであればこれは素晴らしい結果が期待できますが、いずれにせよ、これから適合する分子標的薬候補の化合物を色々と設計して、前臨床試験と臨床試験を通過して、となると早くても10年前後はかかるでしょうね。期待せず気長に待ちませう。

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